第10回 プレミアム・セレクション
Ackerman Family Vineyards アッカーマン・ファミリー・ヴィンヤーズ
設立年:1994
オーナー:アッカーマン・ファミリー
ワインメーカー:ゴーブ・チェリオ & ケリー・ウィート
解説:ボブとローレン·アッカーマンは、1994年に土地を購入して以来、葡萄栽培について多くのことを学んできた。最初の2〜3年は、ただ葡萄畑とそれを繁栄させるために必要な知識を身に付けるために過ごした。注水ラインを確認するために畑を歩き、収穫が近くなったら杭をまっすぐにしたり、果実の味見を行ったり、である。葡萄畑の生活に慣れるために、いくつかの調整を要したが、ワイン造りのプロセスの一歩一歩が新しい発見であり、季節を追うごとに情熱が深まっていった。
時間が経つにつれ、ボブとローレンは新しい格子作りや剪定を介して、それを微調整する作業の中で葡萄畑に必要なものを学ぶようになった。干ばつに強い台木に葡萄畑全体を植え替え、キャノピーを開くためにトレリスシステムを変更、ナパのもっと温帯地域より果実により多くの日光に浴びさせる。更に、齧歯類の動物を締め出すためにホークボックスを設置しながら、被覆作物や堆肥を使用して持続可能な農業を行い、最終的にはボブとローレンが非常に誇りとすべきカリフォルニア州認定オーガニック・ファーム(CCOF)を造りあげたのである。
当初、葡萄のほとんどは地元のワイナリーに販売されていた。ボブとローレンは時間をかけて彼らの葡萄畑を学び、また造りたいワインに関してもじっくりと学んだ。バランスのいい、滑らかで深いベリー風味にスパイスが香るワインで、料理とケンカしない、アルコール濃度の低い(13.2%〜14.5%)ものへと辿りついたのである。ワインは熟成とともに良くなると一般的に言われているが、ナパ・ヴァレーの片隅でワインを生産し始めてから18年以上経った今、彼たちが造るワインは現在から15年後に至まで楽しめることが証明されている。
Alienor アリエノール
設立年:2005
オーナー:メイ-ブリット & ドニ・マルベック
ワインメーカー:メイ-ブリット & ドニ・マルベック
解説:アリエノール・ワインは2005年にメイ-ブリットとデニス・マルベックによって設立された。デニスは、シャトー・ラトゥールで生まれ、祖父と父に習い、2000年までそこでワインメーカーとして働いていた。その後ワインメーカー・コンサルタントとしてメイ-ブリット共にナパに来たデニスは、ボルドーとナパ・ヴァレーの両ワイン産地で100点のワインを造る、おそらく唯一の生産者であるといえよう。
アリエノールのワインは、ケルシーヴィル、レイク・カントリーの小さなAVAで造られている。このユニークなAVAは、他のレイク・カントリーの地区よりも高度は低く、クリア湖に近い。涼しい気候を堪能することができる。もう一つの重要な特徴は、ボルドー同様に土壌は火山ではなく、砂利、粘土、砂の混ざった沖積土壌であることである。アリエノールのワインはカリフォルニア産ワインの中では非常にユニークであり、よく一流のボルドーと間違えられることがある。
Ehlers Estate エラーズ・エステート
設立年:1985
オーナー: シルヴィアヌ・ルデュク
ワインメーカー: ケビン・モリッシー
エラーズ・エステートの目標は、原産地を反映させたワインを生産することである。小さな家族農場経営で、持続力、コミュニティ、品質、慈善、歴史といった価値観を反映させる。1985年には、ビジネス、ボルドースタイルのワイン、そして恩返しをという情熱を持って、ジーンとシルヴィアヌ・ルデュクは、セント・ヘレナのすぐ北側に位置し、1886年に造られた歴史ある42エーカーのバーナード・エラーズ・エステートの畑を購入し、再生を始めた。
2002年にジーン・ルデュクが亡くなり、ワイナリーは、ルデュク財団の資産となる。現在は葡萄畑からワイン醸造、スタイルの方針に至るまで、ワインメーカーのケビン・モリッシーに委ねられている。ナパ・ヴァレーの中でも最も葡萄栽培に適した土壌に植え替えを行い、芸術的なワイナリーとバレルを建築し、カリフォルニアとヨーロッパをひとつにしたワインのスタイルを定義し、オーガニックとバイオダイナミック農法で、ワールドクラスのワインを生産、そしてその利益は心血管疾患の研究にあてる、エラーズ・エステートはナパ・ヴァレーでも類のない位置づけとなっている。ワイナリーでは、ソーヴィニヨン・ブラン、メルロ、カベルネ・フラン、およびカベルネ・ソーヴィニヨンを生産。主要なカベルネ・ソーヴィニヨン“1886”は、バレルのチャイの後ろにある最西端のパーキンズの一区画からエーケンズ丘のアサンブラージュである。
Jericho Canyon Vineyard ジェリコ・キャニオン・ヴィンヤード
設立年:2006
オーナー:ブリーチャー・ファミリー
ワインメーカー: アーロン・ポット
解説:ブリーチャー家は、ナパ建設計画企画部に建築デザインを提出した6年後の2006年8月に独自のワイナリーを遂に完成させた。ステンレススチール・タンク、茎排除機、圧搾機等の高価な機器を収容する建物は、セコイア材を使用したシンプルでありながら美しい構造に仕上がっている。ワイナリーは、葡萄畑のブロック3の丘の中腹に掘削された、ワインをバレルで熟成するための涼しくて湿度の高い空間を広げる6000平方フィートの洞窟につながっている。ブリーチャー家及び彼らの葡萄とワインにとって、このジェリコ・キャニオン・ヴィンヤードのワイナリーと洞窟が最高の家となった。
ブリーチャー家の毎年のヴィンテージ目標は、ジェリコ・キャニオン・ヴィンヤードに忠実であるワインを造ること。最高の味を求めて、彼らは葡萄の収穫期をワイン生産者と密に相談しながら決めていく。峡谷の丘に位置する葡萄畑の果実は通常、谷底で育つものより後で熟されるため、収穫を10月下旬または11月上旬まで伸ばすということもしばしばである。これはジェリコ・キャニオン・ヴィンヤードで働く全てのチームメンバーのストレスを高める原因でもあるが、ジェリコ・キャニオン・ヴィンヤード独特のワインの味を際立たせるための必要な時間となっている。
Lail Vineyards レイル・ヴィンヤード
設立年:1995
オーナー:ロビン・ダニエル・レイル
ワインメーカー:フィリップ・メルカ
解説: 1995年にマネージング・パートナーのロビン・ダニエル・レイルが設立したレイル・ヴィンヤードは、ナパ・ヴァレー130年のワインの歴史と伝統の頂点に位置している。この会社のルーツは、ロビンの曽祖伯父のキャプテン・グスタヴ・ニーバームがイングルヌック・ヴィンヤードを設立した1879年に遡る。
産業の革新、リーダーシップ、そしてニーバーム氏と甥の息子ジョン・ダニエル・ジュニアが手がけた樽から伝説となるワインが生まれるような、豊かな時代であった。初めてワインをガラスのボトルに収め、そのボトルに「ナパ・ヴァレー」のラベル表示をしたのも、その時の彼らである。
イングルヌック・ヴィンヤードは1964年に売却されたが、1970年にジョン・ダニエル・ジュニアの娘、ロビンによって家族はワインとの関わりを再開することとなった。ロビン・ダニエル・レイルはロバート・モンダビのパーソナル・アシスタントとして5年間勤め、その後、1980年代初め、「ドミナス」と「メリーベール」ワイナリーをそれぞれのパートナーと共同設立した。1995年、レイル家は自分達の所有権を他のワイナリーに手放し、自分達の伝統について考えた。そして、ロビンと夫のジョン、そして2人の娘たちは、その伝統を21世紀へと繋ぐことを決め、6世代目となる彼らのグラーヴ・スタイルのソーヴィニヨン・ブラン、孫娘の名前から取った“ジョージア”が生まれた。レイル・ヴィンヤードの全てのワインは、ワインメーカーとして名が通っているフィリップ・メルカによって造られている。彼の才能は葡萄畑においてもワインセラーにおいても発揮されている。
ロビンの父親であるジョン・ダニエル・ジュニアは、「ナパ・ヴァレーは世界一のワインを生産できるところだ」と常々言っていた。現在その彼の子供や孫が先祖代々続く優れたワイン造りの伝統を繋いでいるのである。
Miner Family Vineyards マイナー・ファミリー・ヴィンヤード
設立年:1998
オーナー:デイヴ・マイナー
ワインメーカー:ゲーリー・ブルックマン
解説: オークヴィルの東の丘に、デイヴ&エミリー・マイナーによって設立された家族経営のワイナリー。品質を保ちながらも、それだけでは飽き足らず、個性的なスタイルのワイン造りを目指し、ナパ・ヴァレーとしては異質な存在である。わずか数年のうちにカリフォルニアで最高の畑を確保し、多様な葡萄を栽培している。ナパ各地のステージコーチ・ヴィンヤードはメルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランおよびシラー。マデラのシンプソン・ヴィンヤードはヴィオニエ。メンドシノのギブソン・ランチはサンジョヴェーゼ。サンタルシア・ハイランドのゲーリー・ヴィンヤードとロゼーラ・ヴィンヤードはピノ・ノワール。そして、どの葡萄から造られるワインも、畑の特徴を取り込んだ個性豊かなものとなっている。マイナーは、畑ばかりでなく、ワイナリーに必要な優れた人材の確保から、販売者、レストラン、消費者まで人にも深く関わっている。また、デイヴの祖先はさかのぼると古代アッシリアにたどり着く。ラベルのデザインは、古代アッシリアのレリーフ、翼を持つ太陽神をイメージしている。このシンボルは、人類の命を照らし、葡萄の木にエネルギーと暖かさを与える輝く陽光を表している。
POE ポー
設立年:2009
オーナー: サマンサ・シーハン
ワインメーカー: ジョナサン・キース
解説:ポーは、葡萄畑と、ブルゴーニュとシャンパーニュのワインの推奨者であるサマンサ・シーハンよって2009年に設立された。ブランド、ポーは、カリフォルニア州にも、微気候から次の異なる気候へと劇的に変化する驚くべき、そして独特の土壌があることを示すために作られた。その特徴を示すために単一畑でワインは生産され、量ではなく、むしろ果実がバランスのとれた風味豊かな状態である時に収穫をしている。アンダーソン・ヴァレーは、カリフォルニアで最も香の良い、表現豊かなピノ・ノワールが育つ歴史を持っているため、ポーはこの地域からの葡萄を選んでいる。
ワインメーカーのジョナサン・キースは、産業界での豊富な経歴を持つ。彼はUCSBで化学を学んだ後、シネ・クワ・ノンのマンフレッド・クランケルに就職した。セラーで働き、ワイナリーはその年100点を得ることができた。彼はワインビジネスを学ぶために、オーストラリアに飛び、バロッサ・ヴァレーにあるトゥー・ハンズ・ワイナリーで修行をし、その後ナパ・ヴァレーに戻り、アウトポスト・ワインで100点のワインの生産者であるトーマス・ブラウンの指導の下でセラー・マスターとして働いていた。
設立年:1997
オーナー:レンテリア・ファミリー
ワインメーカー:カレン・カラー
解説:レンテリア一族は、ナパ・カウンティーの1620エーカーの敷地と、そこに働く315人の従業員を管理する北カリフォルニア最大手の葡萄栽培企業の一つであるレンテリア・ヴィンヤード・マネージメントの経営者として知られている。一族は現在ナパに52エーカーの独自の葡萄畑も所有している。1997年に独自のレンテリア・ワインを生産し始め、毎年約2000ケースのカベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワールを生産する。現在、一族所有のMt.ヴィーダーにワイナリーを建設中で、カーヴはほぼ完成している。
サルバドール・レンテリアがスターリング・ヴィンヤードの葡萄畑の一労働者から指導者へと昇進した1963年に、全ては始まった。彼はナパ・ヴァレーの有名な葡萄畑の多くを監督して回り、名の通った多くのワインメーカーから尊敬されるようになった。高い需要とワインメーカーとしての評判をもとに、彼は、1987年、ついに葡萄畑の経営を始める。
世代交代により、父親の厳しい基準を受け継いだサルの息子オスカーが、1993年に、レンテリア・ヴィンヤード・マネージメントの指導権を握ることになる。ワイン造りは、オスカーのアイデアであった。 1997年の収穫から、オスカーは、ワインを造ることが彼らのビジネスの集大成となるのだと思っていた。ワインメーカーのカレン・カラーの助け、また彼らの類まれな果実の選別技能によって、一家のラベルのひとつであるサルバ・ティエラに加え、ヴィンヤード指定の数種類のレンテリア・ワインを提供できることとなったのである。
Robert Craig Winery ロバート・クレイグ・ワイナリー
設立年:1992
オーナー:ロバート・クレイグ
ワインメーカー: スティーブン・テブ
解説:ロバート・クレイグは、ナパ・ヴァレーの最も高い、最も遠隔の葡萄畑から独特のカベルネ・ソーヴィニヨンを生産する「山男」として三十年を迎える。
彼はナパ・ヴァレー・マウンテンの葡萄畑で、葡萄を栽培するパイオニアであり、熟した果実、しなやかなタンニン、そして初期のバランスと統合を強調する山のカベルネのための新しいワイン造りに対する明確なビジョンを持ち続けた。1980年代に、300エーカーの葡萄畑をビーダー山で開拓し、ヘス・コレクション・ワイナリーのジェネラル・マネージャーとして務め、1990年にはビーダー山を特別なアペラシオン地区とするキャンペーンの先陣を切り、スプリング・マウンテン・アペラシオンの相談役としても活動した。
1992年には古くからの友人3名と独自のワイナリーを始める機会を持ち、ナパ・ヴァレーの偉大なる葡萄栽培アペラシオンから、少量の手造りカベルネ・ソーヴィニヨンを世に出すという長年の夢を実現。最初のカベルネを1995年にデビューさせる。 2002年には、ハウエル・マウンテンの頂上2300フィートに、 クレイグ家の最新鋭のワイナリーを完成させた。
Roy Estate ロイ・エステート
設立年:2001
オーナー:シャーリー・ロイ
ワインメーカー:フィリップ・メルカ
解説: 異業種で大成したロイ夫妻が1999年プロゴルファー、ジョニー・ミラーの葡萄畑を購入後、数々の伝説の持ち主でワインコンサルタントのヘレン・ターリーにワイナリーの設計と葡萄畑の植え付けを依頼した。畑はヴァカ山脈の麓のソーダ・キャニオン・ロード沿いにある。サン・パブロ湾からの涼しい海風によって葡萄はゆっくり成熟する。冷涼な気候によって糖度が高くなりすぎる心配もなく、最適の糖度と風味を併せ持ち、酸と糖が完璧なバランスの葡萄を収穫できる。ワインメーカーはボルドー大学で葡萄栽培と醸造学を修め、シャトー・ペトリュス、シャトー・オー・ブリオンなどでワイン造りに関わってきたフィリップ・メルカ。ロイ・エステートで造られるワインは、新世界と旧世界の最高のもの。つまり、豊かな陽光に恵まれたカリフォルニアのすばらしい葡萄を使い、ワインはボルドー第一級シャトーのエレガンスとフィネスを兼ね備えている。ロバート・パーカーは、2004年の発売以来このワイナリーのロイ・エステート・プロプライアタリー・レッドとロイ・エステート・カベルネ・ソーヴィニヨンに94点から95点を与えている。
Rubissow ルビソー
設立年:1983
オーナー:ピーター & アリエル・ルビソー
ワインメーカー:ティモシー・ミロス
解説: 1983年から、ルビソー家は、ナパの有名なマウント・ヴィダー・アペラシオンの最南端の尾根の中腹に、持続的に栽培されるナパ・ヴァレー・エステートから超限定生産の葡萄を栽培し、ワインを生産している。
創始者のジョージ・ルビソーは引退してパリに移り住み、ワイナリーの所有権及び管理を子どもたち、兄のピーターと妹のアリエルに譲っている。ルビソー・ワイナリーでは絶妙なメルロ、シラー、トランペッツ(カベルネ・フランのブレンド)、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブを造り出す。45エーカーの土地のほとんどが急勾配な森林であり、栽培には18.5エーカーしか使用できず、ワインの生産は天候に準じて、毎年1200~2000ケースに限定されている。
ニューヨークのトーマス・ケラーのレストラン「Per Se」、シカゴの「Tru」、サンフランシスコの「Quince」等アメリカとカナダの最高級レストランの多くがワイン・リストにルビソー・ワインを加えている。
Volker Eisele Family Estate ヴォルカー・エイセル・ファミリー・エステート
設立年:1975
オーナー:エイセル・ファミリー
ワインメーカー:ジョン・マッケイ
解説:ヴォルカー・エイセル・ファミリー・エステートは、ナパ・ヴァレー葡萄栽培地内の15葡萄栽培アペラシオンの一つであるチリス・ヴァレー・ディストリクトに位置している。しばしば太平洋の霧に包まれているチリス・ヴァレーは、ナパ・ヴァレーでも長い生育期をもたらす涼しい地域の一つである。ヴァレーの完璧なカベルネ気候が、微妙な味、フルボディ、そして全体的に複雑さを持つワインの出きを高めている。
400エーカーの土地は、もともとカリフォルニア州最後のメキシコ人知事が1843年にジョセフ・ボリンジャー・チリスに与えた「ランチョ・カタキュラ」の土地の一部であった。その後、チリス家はドイツ人のパイオニア、フランシス・シィベルスに土地の一部を売却し、 1870年代に、その場所でロミタ・ヴィンヤード&ワイナリーを設立した。その時のワイナリーの建物、いくつかのタンク、シィベルスによって構築された圧搾機などはまだ残っている。最も古いカベルネ品種はエイセル家によって1975年に植えられ、未だに優れた品質の果実を生産し続けている。ヴォルカー・エイセル・ファミリー・エステートは35年以上にわたり有機栽培された葡萄による珍しいバランスと細やかさを取り入れた魅力的なワインを醸造し続ける。限定生産の4種類のワインに使用するすべての果実は、チリス・ヴァレーの葡萄畑で栽培されているものである。